退職前に地獄を見る羽目になった話(‘A`)

仕事

漸く転職先が決まって、10月から脱SES出来ることになったのですが・・・その前にとんでもないプロジェクトの炎上に巻き込まれて酷い目に遭いました。

エンドユーザの業界貿易実務
弊社の商流二次請け(エンド→元請け→弊社)
なんのシステム?経営管理全般の再構築
リリース時期2023年4月
昨年の12月から参画した某プロジェクト

炎上の原因

要件が曖昧

元々は某大手SIerが作った経営管理システムが現行として稼働しているのですが、はっきり言って意味不明です。特に基幹となるバッチ周りが巨大で複雑怪奇(数百行もあるSQLが複数あってそれらをJavaから何度も呼び出す)で手に負えない状態でした。設計書も渡されましたが中身スカスカで雑に概要が書かれているだけなんですよね。多分、製造してから後で形式的に作ったみたいな感じです。マスタ管理もいい加減で使わないマスタが山ほどあり、ユーザーさんもどれが必要なのか誰も知らないんですよ。
しかし、最大の問題は要件定義が曖昧なままユーザーと元請け間で契約してゴーしちゃっていることでした。とにかくスケジュールだけが引かれているけど要件定義は殆ど決まっていない、なのに要件定義工程、基本設計工程と工程だけを進めているみたいな中身スカスカ状態でした。ユーザーも自分達の業務を把握してこうしたいというイメージが決まっておらず、とにかく「社の方針として次期システムを再構築し社内の業務を一新する」というお題目ばかりが先行していて自分たちの業務への分析が不足していました。勿論、情報提供依頼書(RFI)やそれに対する提案依頼書(RFP)はありましたが、本当に簡単な概略程度で具体性は皆無でした。本来であればそこから

  • 現行業務の整理
  • ヒアリング実施と課題分析
  • 新しい業務の検討
  • システム化範囲の検討

と踏んで初めて要件定義で具体的なイメージを共有し、契約確定、基本設計・・・と進めていくべきなのですが、結局、予定より2ヶ月も遅延させてエンドユーザーの五月雨式の話を聞いた挙げ句、出来たのは形ばかりの要件定義書です。中身は次の基本設計工程に持ち越しとどんどん後ろに伸ばしていきました。本来であれば基本設計以降なんてエンドユーザーさんとの打ち合わせは回数を減らして設計に注力していくはずですが、中身が全然わからないし(というかエンドユーザー内でもまるで固まっていない)結局、毎日打ち合わせばかりしていました。しかも聞く度に「これは社内で検討させて欲しい」「実はこういう業務があるんだ」とかばかり次々と出てきます。固まった話がまた戻ったり、別の画面にして欲しいとお釈迦になったこともあります。その結果、プロジェクトがスコープ・クリープを起こしどんどん膨らんで制御出来ない状態になっています。

ここまで聞いた人は、PMは何をやっているのかと思うでしょう。それが次の原因です。

要件定義が曖昧で後から追加要求が増えてスコープ・クリープを起こしている

プロジェクトの管理体制も曖昧

自分は昨年の12月から、弊社後輩社員が今年の4月から参画して要件定義や基本設計に入ったのですが・・・どうもプロパーには自分にいちシステムを任せるリーダーであると(勝手に)任せられていたようです
“ようです”というのは、明確にリーダーだと任命されたことはないですし、組織図上でもリーダーにはなっておらずあくまで1メンバー、リーダー会議にも一度も参加したことはないです(つまりプロパーPMが勝手に思ってry)
自分だけではなく、プロパーのPM自身、本当にPMなのかわからないんですよね。一応、そうらしいとは聞いたのですが、何故か下々がやるような作業やってたり、その一方でエンドユーザーが次々と矢継ぎ早に「あれもしてほしい」「これも必要」と打ち合わせで言ってくるのをまるで制動しない。なんでなのかと不思議でしたが、後日、弊社に直接、

プロパーPM
プロパーPM

かなんさんにリーダーを任せた(つもり)のにまるで作業員みたいで使えない

とクレームがあったと聞いて漸くわかりました。丸投げしたつもりだったですよこのPM!何も言わずにです!うちだけじゃなくて他の協力会社さんに対しても万事こんな調子だったらしく、プロジェクトが膨らんでどんどん色々な協力会社のBPさんが参画してくるんですが、誰がどういう担当なのかどころか、そもそも互いの紹介さえしないから誰が誰なのかさえわからない状態になっていました。プロパーが全くコントロールしていません。上記にPMなのかわからないと書きましたがそういうことです。とにかく消極的でコミュニケーションを取ろうとしない人だったので全体の繋がりが薄い、プロジェクトとしての一体感が皆無でした。前々からプロパーと仲良くやっている一部の凄腕BPさんが上位のリーダーをやってましたが、殆どその人か同じ会社の人としか話していないんですよ。それ以外の大勢の協力会社の人とろくに会話しようとしない、一方的にWBSひいてスケジュールを出すだけ。しかもそのスケジュール作成すら途中からこちらに投げてきていました。本当に全てが曖昧でした・・・

そもそもうちが直接エンドユーザーと打ち合わせしていたの自体おかしいんですよね。我々はプロパーじゃないので勝手にプロパーを代表して答えられません。よく「貴社(プロパー社名)としてはどうするつもりなのか?」と直接聞かれることがあったのですがとにかく回答に窮しました。SES契約で直接エンドユーザーと要件定義ベースの打ち合わせは難しいです。勝手に回答できないし責任持てない。

誰がなんの役割なのか一切明言されないため役割や責任が曖昧

エンドユーザーから要望が多過ぎる

エンドユーザーがシステム開発の発注経験が無い、おまけにシステム担当の人が中途半端に知識があるみたいで、

  • 請負なのに設計書とは別にどうやって作るのかロジックが分かる資料を提示しろ
  • 仕様を詰めたいので毎日打ち合わせしよう!

と矢継ぎ早に要求を繰り返してきました。設計書とは別に納得の行く資料を作ってそれを毎日事業所まで持っていくか、Webで打ち合わせして説明させられました。勿論、それらの工数はマスタスケジュールに入っておらず、当然のように遅延していきました。その打ち合わせ自体もこちらが主導でスケジューリングして提示しましたが、エンドユーザー各位の都合で変更させられ予定通り進むことはありませんでした。
この遅延についても、プロパーPMは「何故遅延するのか、リカバリはどうするのか!?」と詰めてきました・・・

  • 請負なのにロジック出せ、資料作れと言いたい放題
  • 毎日毎日打ち合わせ、そのスケジューリングも自分がやっていた
  • 当初のスケジュールに載らないエンドユーザーとのタスクだらけで破綻

結局、この現場で自分がやっていたのって設計書書くことより、エンドユーザーとの打ち合わせの調整、メール作成、言われた資料作成ばかりで何やっているんだろうなって思いました。これが業務SEとやらなのかと思うとやってられませんでしたね。スキルも何も身につかず、エンドユーザーのお気持ちでボタンの位置変えたりしてました・・・

末路

結局、どうなったのかというと8月末で弊社は撤退することになりました。本当は退職する自分が残るはずだった後輩社員に引き継ぎして会社としては残留する予定だったのですが・・・

退職の通達

私の退職に伴う離任については7月はじめには通達していました。その時点では「9月には有給消化したいので多めに休ませてほしい」と伝えて、一旦は通ったのですが・・・その後、1週間ほどして

プロパーPM
プロパーPM

9月多めに休むなら8月で契約は終了する

と営業に言ってきたようです(何故最初にその場で言わないのか)
ならば営業も「ではかなんは8月で契約終了ということでお願いします」と返したのですが・・・

プロパーPM
プロパーPM

それが御社の誠意か!ふざけるな

と言われたそうです。流石に営業も頭を抱えていました・・・
結局、後輩社員に引き継ぎをして8月で契約終了という話になりかけたのですが・・・

後輩社員が限界

上記のように毎日のようにエンドユーザーと顔を合わせて仕様についてアレコレ言われて説明して、せっかく作った資料も設計書も駄目出しばかりされる現状に後輩社員の方が先に限界を迎えました。8月半ば頃のことです。

毎日毎日こんな状態だった
後輩社員
後輩社員

もうエンドユーザから無茶苦茶言われるの辛いです耐えられません

と、私どころか私の上長である課長も飛ばして別部署経由で部長まで話が上がったそうです。このままでは貴重な若手戦力が鬱なり適応障害なりで潰れかねないと判断した部長らはプロパーに「このまま体制を変えてもらえないなら8月で撤退させていただく」とクレームを入れました。
その後、全く返答もない(このPM、会社からのメールに対しても凄く返信が遅い)まま1週間ほど経過して漸く返答が来ました。

プロパーPM
プロパーPM

分かりました。では以降エンドユーザとの打ち合わせは出なくていいです。
契約も8月で終了して撤退して下さい。

・・・私としては助かるのですが、だったら最初から体制をキチンとしてほしかったです。
この頃、他社の状況を見渡すと他の協力会社さんもなんか撤退していたり、新しく入ったのに新人未満のレベルだったりと滅茶苦茶な状態でした。うちだけでなく、他社さんも使い潰していてとにかく人入れて丸投げして駄目なら終わりを繰り返しているようでしたね・・・

私自身の能力不足、単価100万超えの素晴らしいPL経験有りとかだったらなんとかなったかもしれませんが、何も言われず、辞めるのが確定した自分では巻き返すどころかさっさと逃げたいだけの毎日でした。エンドユーザーのお気持ち一つでボタンを付けたり、1画面に機能てんこ盛りにしたりと馬鹿な設計もしました。実装には携わらなかったこともあり、実質エンドユーザーとの打ち合わせ係状態だったので大したスキルも得られず時間と体力の無駄遣いでしたね。何度、退職代行サービスを使ってでも今直ぐ逃げようかと思ったくらいです・・・

このプロジェクトがどうなるかもう私には知る術は無いのですが、恐らく予定通りにリリースすることは出来ないでしょう。別の協力会社が進めている製造工程も設計が薄すぎて何をどうすれば良いのか不明瞭であまりうまく行っていないようでした。

正直、最後はもうどうでもいいから早く抜けさせてくれって心理状態でした・・・付き合いきれない、SES辞めることになって本当に良かったとさえ思いましたね。

かなん
かなん

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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