企業概要&特徴
企業概要
本社:大阪市中央区心斎橋
設立:2010年
最近、着工棟数を伸ばしている新鋭のハウスメーカーですね。業界では有名なのですが広告とかあまり出していない会社なので家造りを考えるまでは知りませんでした。歴史は浅いですが、元々大手ハウスメーカーの役員が独立して作った企業のためか営業はベテラン揃い、関西の会社ということもあって近畿一円を中心に全国展開している、また大手ハウスメーカーの3割安く建てられる、品質も良いということもあって順調に成長しているようです。
アイ工務店については実際に家を建てられたこちらのブログが参考になりました。建築主様ご自身がとてもお詳しく、気密性、断熱性、耐震性といった家の基本的な性能がどれほど重要か勉強になりました。
特徴、標準仕様
いくつか商品があるのですが、ここでは最も標準の商品であるEesについて記載します。
他の商品はアイ工務店のサイトを参照して下さい。
工法
木造軸組工法に金物を併用、そこにパネル工法を組み合わせたハイブリッドです。
全国展開しているようなハウスメーカーは単なる木造軸組というのはあまり無いのでまあこれは普通です。
外壁
窯業系サイディングです。
ニチハのFUGEプレミアムという目地のメンテナンスが良いものを使っています。
他にオリジナルプレセットタイルというサイディングの上にタイルを張る事もできるみたいです。
総合的に見てかなり良いかと思います。
屋根
陶器瓦、ガルバリウム鋼板、スレートから選択可能のようです。
陶器瓦の場合長持ちするのでメンテナンスコストも良いかと。
尚、最近の瓦というのは昔ながらの重い陶器ではなく軽量化された一見して屋根瓦に見えないのも特徴です。
防蟻対策
防蟻、つまりシロアリ対策です。昔から家を倒壊させるのは地震かシロアリだと言うくらい、家の大敵です。腐った木が好きなので基本的に鉄骨だとほとんど問題にならないのですが木造だとなんらかの対策が必要になります。
アイ工務店の場合は、基礎の上に防蟻シートを敷いて土台に薬剤を塗っているようです。重要なところですがここの対策は一般からはほとんど見えないので信頼するしか無いです・・・
換気システム
熱交換型第一種換気システムになります。
余談ですが、今の改正建築基準法では新築する場合、第一~三種のいずれかの換気システムを導入することが義務付けられています。
簡単に説明すると
第二種換気:給気のみ機械式で排気は自然任せ。家庭ではほぼ使われない
第三種換気:排気のみ機械式で給気は自然任せ。これまでの家庭で多く普及していた
見れば分かると思いますが、第一種は最も空気をコントロール出来るので気密断熱に強いです。
しかし弱点として全て機械式であるがゆえにメンテナンスコストがそこそこ掛かるという点があります。フィルターは半年に1回程度掃除する必要がありますし、ダクト式になると10年に1回は業者に清掃を依頼する必要があります。
気密性・断熱性
家の性能のコアとも言える部分です。家を建てるに当たってはこれらに加えていかに地震に強いかという耐震性で大体決まると言っても過言ではないでしょう。これらが最も強いのが一条工務店です。
アイ工務店もそこは分かっているらしく、気密性は非常に高いです。気密性は家にどれくらいの隙間が空いているかを示すC値によって表されます。これが低いほど気密性があります。昔ながらの家だと隙間だらけなので2.0だの3.0だのです。うちも酷いもので屋根裏なんてどこか、というかあちこちが穴が空いているのでネズミだかイタチだか入り放題です。
それに気密性が低い欠陥住宅というのは本当に地獄です・・・
断熱は屋根、壁、床下断熱が標準です。アクアフォームという水の力で吹きつける断熱材を入れています。
総じて断熱性は高いと思います。
実際、アイ工務店の建てた平屋を見学させていただきましたが、少なくとも寒さは全くといっていいほど感じませんでした。
窓
窓は断熱を考える上で非常に重要です。
また窓枠で結露が生じると見えないところで知らない内にカビが発生します。そのことからも窓をどうするかは家の性能、寿命に直結すると言っても過言ではありません。
アイ工務店の場合、YKKAPのAPW330かLIXILのサーモスXかを選ぶことが出来ます。どちらもLow-Eの複層ガラスですが、大きな違いは
サーモスX:アルミ(外側)+樹脂(内側)のハイブリッド構造
という点です。
断熱性はAPW330の方が高いですが窓枠が太いため、サーモスXの方が見栄えはちょっといいです。
しかしオール樹脂のAP330の方が結露が生じにくいでしょう。
問題点
性能について高い評価をしておいて私も乗り気だったのですが、営業と打ち合わせを進めていく内に以下の問題点が顕在化してきました。
営業所が遠隔地
これは完全に私が悪いのですが・・・奈良在住にもかかわらず最初に大阪の営業に依頼してしまったことでしょう。実際に見に来てもらう以上、奈良県まで来てもらいますし、地元の解体業者などへのツテも弱かったようです。両親も「遠いところはちょっと・・・」と敬遠していました。
アイ工務店は奈良にも営業所をいくつか持っているので最初からそちらに話を持って行った方が良かったです。 これが新しい土地を購入してそこに家を建てるならともかく、解体してから建て替えとなると何度も調査に来てもらうことになるため近所の方が有利です。最初の頃はその辺りの意識が出来ていませんでした・・・
間取りの提案力が弱い
営業マンの方は他のハウスメーカーからの中途で確かにベテランでした。自社の商品の特徴を淀みなく、自信を持って説明していましたし、印象は良かったです。
ですが、こちらが提示した間取りに対して実際に提示された間取りがいまいちいけてなかったのです。
この間取り、まだ仏間をどうするかが入っていなかったのですが、とりあえず以下の条件でこの図を渡しました。
・トイレは玄関横(可能なら横に手洗い用の洗面所も)
・キッチンと洗面所は近くに配置
・部屋の広さは参考程度(できる限り広くしたいが予算との兼ね合いでは各縮小)
・LDK、TVの横辺りに仏壇を収納するようなスペースがほしい
・LDKの内、ソファ部分は畳スペース
で、それに対して実際に提案してきたのがこの間取りです。
何が問題かわかりますか?仏壇の位置が端っこなんですよ。うちみたいに檀家に入っているような昔ながらの家の方なら分かると思いますが、仏壇って単なる飾りじゃないんですよね。年に何回か所属する寺の住職殿に来ていただいてお経を唱えたりするなど儀式があるのです。つまり手前にお客様を迎えるのですよ。この位置では流石に失礼に当たります。
もちろん指摘すれば直してもらえるでしょうが・・・他のハウスメーカーの営業はこちらから言う前にその辺りも気をつけて間取りを作成してくれました。なんなら「浄土真宗なので仏間の方角が東か南である必要がありますね」とこちらが知らないところまで配慮してくれました。
この後、アイ工務店営業さんには何度か異なる間取りの要望をお伝えして出し直して貰ったのですが・・・残念ながら終始気付いてくれなかったです。こちらが提案したからとりあえず仕事として間取りを作った感が否めなかったのです。
間取りと金額
最終的に提示された間取りと金額はこちらです。
間取りは修正していただき、更に予算に合うように縮小までしてもらいました。上と間取りが変わっていますがこれは別のハウスメーカーが提示してきた居室を南側に配置する間取りが良さげだったのでそれをアイ工務店の営業さんにもフィードバックした形になります。そういうところでも弱かった
坪単価に換算すると66.3万円になります。
はっきり言って高いです。安くはないと思っていましたが想像以上ですね。
この価格、太陽光パネルは無し、それどころかガスなのに標準だとエコジョーズではなく、一般的なガス給湯器です。てっきりエコジョーズはオール電化にしない場合は標準だと思っていたのですが、それすら付きませんでした。オプションで+50万ほどすると言われました・・・
更に問題なのが解体と外構の費用です。他が出してきた見積もりより大幅に高いです。特に解体、これは当初別の業者で全て解体する場合になった800万と殆ど金額が同じです。他社と解体対象の条件は同じように絞ってここまで高いとなるとやはり大阪の営業にお願いしたためアウェイだったのでしょうか。
2022/2/13(日) 追記
実は正式に返事するのを先延ばししていたこともあって改めて最終的な金額についてご提示をいただきました。
間取りは上と一緒です。本体価格自体は殆ど変わっていませんが、外構費用を100万ほど、解体費用を50万ほど頑張ってもらいました。また、特別キャンペーンを駆使して更に200万以上も割り引いてもらいました!最初から本気出せよ
他に2月に契約してくれれば、フローリングにはEIDAIがグレードアップ、水回りをパナソニックで統一してくれればオプションサービスなども言われました。
かなり良くなったとは思います。しかし結局のところ坪単価が変わっているわけではないので、このままの状態で36坪まで上げたらやはり余裕で予算をオーバーします。
実際、単純に30坪まで拡大したものは145万円ほどアップすると言われました。
やはり坪単価ベースの本体価格というのは弄れないようですね・・・
また、仏壇の配置など間取り提案にも他メーカーより弱いところは変わりませんでした。他に気になる点として調整区域であるがゆえの建築確認申請が間取り決定後、2~3ヶ月は掛かるため、着工が秋ごろになるとかなり遅いことも気になりました。他メーカーでも概要スケジュールは提示されたのですが建築確認込でここまで遅いのはちょっと無かったです。アイ工務店が正しいのか少し気になるので別メーカーでも確認しようと思いますが・・・
終わりに
最初は色々期待していましたし、総じて悪いメーカーではないと思いますが・・・色々問題や納得の行かないことが多かったです。地元のアイ工務店にお願いしなかったことは私の失敗でしたがそれ以外でも
ですね。以上のことから見送らせていただくことになりました。標準的な性能は決して悪くないのでお勧めは出来ると思います。あくまでうちには合わなかったということです。
余談
この後、他のハウスメーカーや工務店の見積もりも取って値下げの交渉などもしました。
その中で一つ気付いたことですが・・・各メーカーとも
ということです。文字通りの意味で、値下げ交渉に応じるメーカーも一切しないという工務店もありましたが、どちらにせよ本体価格は絶対に変えませんでした。坪数を下げたら本体価格が下がり、坪数を広くしたら本体価格が上がる、当たり前のことですが、逆に言えばここは営業マンが触れない会社の絶対的なラインということでしょう。
何が言いたいかというと、ハウスメーカーや工務店を探す時は原点に立ち返って坪単価ベースで見た方が良いという話です。他で差が出ることもありますが、多くは坪単価の違いでトータルの価格が数百万も違ってきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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